hey MAGAZAINEやぁ

「商い」とは何かを考えるべく、ファーマーズマーケットでお買い物を楽しんだヘイ株式会社経営陣の佐俣と塚原。売り手とのおしゃべりや、そのストーリーが価格以上の価値になっていることを再発見しました。後半では、デジタルがそれらをどう変化させていくのかを探ります。

売り買いのノイズをなくす

── この、コミュニケーションがお金を生むって現象は、デジタル空間でも再現できるんでしょうか?

塚原: <STORES.jp>だけでは、不可能でしょうね。けれど、購買体験全体で考えれば、デジタル上でもリアルと同じようなことができると思いますよ。いまこのマーケットで私たちが枝豆を買うまでの過程と同じことを、たとえば若い子はSNSで場所を問わず、密度の高いコミュニケーションで実現している。STORES.jpのカートを通して、世界観を共有しているんです。

── <Coiney>は決済手段なわけですから、現場はよりリアルですよね。

佐俣: そうですね。ただ、購買体験そのものについては普段から思っていることがあって。自分たちのサービスを全面的に否定しちゃうんですけど、お金は消えたほうがいいと思ってるんですよ。

bg-01bg-01post-1-2-2-01@2x最初から買う!と宣言していたキノコを手に入れました。

── どういうことですか?

佐俣: お金払うのって、体験としてそんなに楽しいものじゃないと思うんですよ。だから、私が理想的だと思うのは、枝豆農家のおじちゃんとの話で言うと、だだちゃ豆って美味しいねっておしゃべりして支払いをせずに枝豆をもらって帰るんだけど、おじちゃんの銀行口座にはお金が入っているような世界。

── ふむ。

佐俣: コミュニケーションそのものは、別の手段で代替できる可能性はありますよね。ブログでもインスタでも、いまのインターネット上のコミュニケーションフォーマットに合わせていけば、コミュニケーションは、より密になる。枝豆農家のおじちゃんとはここに来ないと会えないけれど、おじちゃんがネットショップでもやってたら…。

塚原: 買うもんね。

佐俣: 出合い方は、リアルとデジタルを行ったり来たりして、どちらかに偏るわけでもないでしょうね。このマーケットで出合ったものをECで買ったり、ECで買ったものをつくった人にここで会えた!みたいなこともあるでしょう。ポップアップショップやリアル店舗とECと、いろんなものの組み合わせがもっとシームレスになっていくんだろうなって。

塚原: そのコミュニケーション上で、売りたい人の世界観を崩さずにその人らしい売り方ができるようなサービスにするためには、「ジャマしない」ってことを重要視しています。私たちは裏方で、買った人がSTORES.jpを意識しないくらいがちょうどいいんですよね。

── 先ほどの佐俣さんの、「お金払う瞬間をなくす」という話も、同じかもしれません。ジャマしない。ノイズをなくす。

佐俣: 重要なのはコミュニケーションで、お金払うことそのものはノイズなんです。レストランでご飯を食べたとしても、美味しかったですって伝えてそのまま帰れた方がより気持ちいいはずなんですよ。

── 一万円を払った時点で、そこで得られた価値は一万円以上でも以下でもなくなってしまうようで、少し寂しさも感じますね。

佐俣: そう。だから、そのノイズを消したいな、と。

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いっしょに売り買いする

── STORES.jpとCoineyが一緒になることで、そういった世界への道は、どのようにブーストされるんでしょう?

塚原: 事業上の意味もあるとは思うんですよ。けれど、それ以外の部分が大きいのかも。つくっていきたい世界観をつくる仲間として、いっしょにやりたい相手がここにいるという。

佐俣: シナジーってことでいうと、ID統合して云々とか、オンラインとオフラインをシームレスになんてのがあるんでしょうね。けれど、いちばんのシナジーは2つあって、まず、財務が強化されること。二者が統合することで、財務面が健全化されていくことは大きいですよ。

── 世界観をより強固に描けるようになりますね。

佐俣: 2つめは、目標に対していっしょに働く仲間が増えていくということ。人が増えていくことそのものが、シナジーなんですよ。「ヒト・モノ・カネ」なんて言われますが、人がいてお金があって初めて物ができていくわけですから。

── なるほど。

佐俣: …という話を、ちょうど昨日、佐藤が話していたんですよね。

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── 佐藤さん、結局来ませんでしたね。

塚原: 来られないことを予測していたのかもしれない。「だから、先に言っておいたでしょ」ってあとで言われそう(笑)。

佐俣: いままでひとりで見なくちゃいけなかった「ヒト・モノ・カネ」のそれぞれを分担できるようになったし、みんな得意分野が違うから発想そのものが広がったりもする。いいチームって、単にお金じゃ買えない。あやちゃんたちを含め、経営陣が増えることで、より大きいことができるようになるんですよね。

塚原: 私にとっても、なおちゃんがつくってきた会社とサービス、それになおちゃんと働いているメンバーといっしょにやっていきたい。その先で、さとくんが思っていることが実現できるといいなって思うんですよね。

── あたらしい世界を、なおちゃん、あやちゃんと、今日は欠席のさとくんとつくる、と。

佐俣: そう。なおちゃん、あやちゃん、さとくん、ってその呼び方、幼稚園かよって感じですけど(笑)。

  • 佐俣奈緒子

1983年生。広島県出身。2009年より、米ペイパルの日本法人立ちあげに参画。加盟店向けのマーケティングを担当し、日本のオンラインサービス/ECショップへPayPalの導入を促進。2011年10月にペイパルジャパンを退職後、2012年3月にコイニーを創業。
  • 塚原文奈

2003年に新卒で株式会社インテリジェンスに入社。2004年に株式会社サイバーエージェントに入社。フリーランスとしての活動を経て、2012年、STORES.jp立ち上げ前から株式会社ブラケットに入社し、COOとなり、事業や会社全般のマネジメント業務に従事。2016年より同社(現在:ストアーズ・ドット・ジェーピー(株))のCEO就任、現在に至る。
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