ALL YOURSというアパレルブランドを手がける木村昌史さん。シンプルな服なのに、他のアパレルブランドと一味違う、とがった個性を持っている。全6回にわたりその秘訣をゆるくレッスン。
▼第1回目はこちら
とがる、とは「生き方をも変える新しい選択肢を見せること」
▼第2回目はこちら
とがることとブランディング「洗練されていればいいってわけじゃない」
僕らの商品づくりがとがっているとすれば、それは後からついてきた結果です。
目の前のお客さんをどう満足させるかを考えていたら、どうやら他のブランドとは違うやりかたに行き着いていました。でも、そう言ってしまったらレッスンはおしまいになってしまうので、僕らの商品づくりのやり方を少し説明しましょう。
24ヶ月連続でプロジェクトを行うことに挑戦したクラウドファンディングをはじめとして、ALL YOURSの何かを作るプロセスはいつもオープンにされています。例えばクラウドファンディングのプロジェクトはまずはたたき台を作ってしまって、あとはネットでプレビューのURLを公開してしまう。欲しいリターンや誤字脱字まで、お客さんが指摘してくれたことを反映します。サンプルができあがったあと実際に商品にする時も、お客さんの要望をどんどん取り入れます。
例えば今までにサイズのバリエーション、襟周りの大きさ、ポケットの追加などが実際に商品に反映されました。普通はトルソーとピンワークでやることを生身のお客さんのフィードバックでやらせてもらっているのです。
でも実は、これらは狙ってやったことではないのです。クラウドファンディングに24ヶ月挑戦すると宣言してしまったら、ページづくりが追いつかなくてオープンにするしかなかった。サンプルをどんどん試着してもらったら、フィードバックが返ってくるようになった。ひとつだけ大切にしていた「目の前のお客さんを見る」ということ以外手放してみたら、案外それができているブランドが貴重だったのです。
とがる商品づくりをしたいからといって、人と違うことをやろうなんて思わないことです。だれもやらない道を選んだからってとがるわけじゃない。だいたい誰もやっていないことなんて地雷なんですから。
木村昌史
住所:東京都世田谷区池尻2-15-8