ALL YOURSというアパレルブランドを手がける木村昌史さん。シンプルな服なのに、他のアパレルブランドと一味違う、とがった個性を持っている。全6回にわたりその秘訣をゆるくレッスン。
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とがる、とは「生き方をも変える新しい選択肢を見せること」
▼第2回目はこちら
とがることとブランディング「洗練されていればいいってわけじゃない」
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「とがる」商品づくり
現代の日本では、こだわらなければすごく安く生活できてしまいます。だから、「何を買うか」ではなく、「どこから買うか」が大事になってくるのです。「どこから買っているか」を買う人に伝えるのがメッセージです。
メッセージを作るにはどうしたらいいか。多くの人は自分が影響を受けたものや好きなものからメッセージやコンセプトを作ろうとするでしょう。出発点はそれでいいと思いますし、僕もそうでした。でもそれには、自分が好きなものや考えていることの解像度を上げることが必要になってきます。例えば「世界を平和にしたい」って、ほぼ何も言っていないのと同じです。もっと解像度を上げないと、メッセージになりません。
僕の例をあげましょう。僕はずっと古着ファッションが好きなんだと思い込んでいたんです。でもある時もう少しよく考えてみようと、アメリカのワークウェアやヴィンテージウェアをなぜ魅力的だと思うのかを深堀りしてみたんです。すると、僕が好きなのは、例えばジーンズを成り立たせるために打ってあるリベットという金具のような、「構造上必要なものだけで服を作ろうという思想」が好きなんだということがわかったのです。
もし、古着ファッションが好きというところでとどまっていたら僕がやっているのは古着屋だったでしょう。けれど、「構造上必要なものだけで服を作ろうという思想」が好きだということに気づいたから、それを現代の日本でどう表現できるか考えていった。それがALL YOURSの服のコンセプトであり、「僕らが売っているのは ファッションではない」というメッセージのもとになっています。
自分が好きだと思うことをやる、という単純な方法でも、解像度をあげればメッセージを作ることができます。このメッセージがブランドをとがったものにしていくのです。
木村昌史
住所:東京都世田谷区池尻2-15-8