hey MAGAZAINEやぁ

「PEOPLEAP」は、7インチのレコードと全く同じサイズのお皿を展開しているプロジェクトだ。真っ白でつるつるした表面にイラストが施されている。5種類からひとつを選ぶのが難しいほど可愛いけれど、真ん中に空いた穴は不思議な存在だし、レコードと同じ価格もちょっと安すぎるような気もする。彼らはなぜレコード型のお皿を売っているのか。

話を聞くのはPEOPLEAPのディレクターの比留間さん(以下、H)と、プロダクトを手掛けたTALKYのメンバーでもあり音楽家でもある須田さん(以下、S)。TALKYについてはこのインタビューを参照してほしい。

レコードがレコード屋を脱出したらお皿になった

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(写真提供:PEOPLEAP)

──なぜこういう形のお皿をつくったのですか?

H:このブランド、PEOPLEAPをはじめた2015年って、今のようなレコードブームも来ていなくて、「いったい誰がレコード屋にいくの?」という状態だったんですよ。音楽好きで音楽関係の仕事をしていた僕は流通の視点から、どうすればレコードがレコード屋から出られるかということを考えた。陶器ブランドTALKYのファンだったこともあって、何かできないかと話を持ち込んでこれが生まれました。

──ということは、曲の情報などが入っているんですか?

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H:そうです。現在全部で5種類のお皿があるのですが、それぞれミュージシャン、デザイナー、イラストレーター、MVディレクターの方に参加してもらっています。裏面にはそのクレジットとストリーミングを視聴できるQRコードがついている。だからレコードと同じ情報を、レコード屋以外に流通させることができるんです。

やっぱりお皿が回るなら回転寿司? プロダクトへのあくなきこだわり

──デザインの視点では、PEAPLEAPの面白さはどんなところにありますか?

S:7インチのレコードと全く同じ形にすることにこだわった結果、真ん中に穴が空いた不思議なお皿ができたことで「なんでお皿に穴が空いているんだろう?」と違和感によって記憶されるようなプロダクトができたところですね。「この穴の空いたお皿をどう使いますか?」という問いのデザイン提案を、使う人が工夫して楽しんでくれるところです。

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(写真提供:PEOPLEAP)

──レコードと全く同じサイズにするのは難しくないのでしょうか。

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H:そこはTALKYメンバーの腕前です。TALKYはB品の陶器を再利用してプロダクトを作るブランドなので、相談を持ちかけた時は、何かを再利用したプロダクトになるだろうと思っていたんですよ。でも、TALKYのメンバーが即答で「それなら真ん中に穴を開けて型から作ろうぜ」と言うので、正直マジかよ、って驚きました。さらに「それなら完全にレコードプレイヤーにはまるように作ろうぜ」となって、この形になり、ブランド名も別のものを作った。陶器の縮率も考えて完璧にレコードプレイヤーにはまるように作るって、すごいことなんですよ。

──そこまでこだわって全く同じ形にしたのはどうしてなんですか?

S:せっかくならレコードプレイヤーでお皿を回したいじゃないですか(笑)。プロダクトができた時コンセプトムービーを作ったんですけど、やっぱりお皿が回るなら回転寿司だよねということでお寿司をのせて回したんですよ(笑)。何度も試作を繰り返したかいがありました。

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youtube PEOPLEAP Project 「7inch-PLATE-」より

H:しかも、ターンテーブルに乗せてみたらちょっと回転が早すぎたらしいんですよ。それで、回転を遅くするために電流が弱くなるアダプターをかませて、回転寿司らしくみせているというこだわりようです。

利益じゃなくて、そこから生まれる偶然を楽しんでる

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──そのこだわりようといい、ふつうのプロダクトとしての採算は度外視ですよね。

S:プロダクトだけで見たらそうかもしれませんね。実は僕はTwothという名前で音楽家として一枚お皿に参加しているのですが、音楽家としては、これをキッカケに今までとは違った経路でMVや僕の音楽を見つけてくれるかもという可能性が大事だと考えています。お皿として割れなければ食器棚には10年くらいは置いてもらえるかも?ってことや、いらなくなったら蚤の市などに出てくるだろうなど、CDやレコードとは違う、日用品としての物の旅が面白いと思うんです。そうすると参加アーティストと未来の誰かとのタッチポイントが増えていくので、陶器という日用品ならではの「残る」という強みを長期的に楽しめるかなと。

H:採算という話では、このプロダクト自体には利益はないんですよ。プロダクトはもちろんクオリティが高いし、化粧箱にも良いものを使っているし。だけど、窯元やアーティストが利益ではなく手にとってくれる人との出会いやコラボレーションを楽しみにして参加してくれている。だから僕らも、このプロダクトによって生まれる偶然を楽しむために、このブランドをやっているんです。

PEOPLE×LEAP = PEOPLEAP(造語) PEOPLEAP PROJECT(以下PPLP)はミンゲイプロジェクトTALKYと立ち上げられた東京初の「マルチメディア・プロジェクト」。 生活というストーリーを豊かにするデイリーユースの「日用品」。
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