hey MAGAZAINEやぁ

子供服について、ときどきこんな言葉を耳にする。「せっかく買っても、すぐに着れなくなるのよね」。素敵な服を着せてあげたい。だけど、サイズアウトのたび、汚れてしまうたびに服を買い換えるのは地球にも、お財布にも良くない。

それなら、洋服のワンポイントになる刺繍やワッペンの部分は、取り外して、付け替えて、ビンテージになるまで大切にコレクションできればいいよね?

そう気付いたのがVV3を主催する丹生あゆみさん。自身も双子のお母さんである彼女は、なぜこのブランドを始めたのだろう。

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── VV3ってベベトワって読むんですね。由来はなんですか?

コンセプトを考えていた時に、「valuable」とか「vocation」とか、将来達成したい「3つゴール」などがキーワードとして思い浮かんで、そこから一文字ずつ取ってフランス語で読んでみると「V(ヴェ)V(ヴェ)3(トロワ)」だった。日本語アクセントで読むと「ベベトワ」と聞こえてその響きがとにかく気に入ってしまって。VV3ではいつか3つのラインを作りたいなと思っているんだけど、それが揃ったとき初めてこのブランドを完成する、という気持ちを込めてこの名前に決めました。未完成で、未達成なネーミングが私らしいなという遊び心もあって。

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──ご自身が子育てをしている中でVV3のアイディアが生まれたんですか?

そうだね。子供服ってすぐ小さくなっちゃうし、すぐ汚れてしまう。特に男の子の双子をもった私は、お気に入りだった服が小さくなったり汚れたりするたびにがっかりしてて。本当は可愛い服を着せたいのにシンプルなもので我慢しているのも何か違う。考えていくうちに、ワッペンみたいにつけたりはずしたりできるものを洋服につけていればいいんじゃないかなと思いついた。

さらに、「今日はこのワッペンつけていく!」「明日はあのワッペンがいい!」と、気分でワッペン(キャラクター)を付け替えられたら子供達はもっと楽しいだろうな、と思って作ったのが、もう一つのベルクロシリーズ。bg-02bg-02

bg-03bg-03我が家は毎朝、服の取り合いで喧嘩だったので、彼ら自身が「今日のワッペン」を日替わりで選べたらいいのになと思ったのがきっかけ。

難しいコンセプトじゃなくて、ファッションを楽しみながら、ものを大切にする心を育てたいというシンプルな気持ちからこのブランドは始まったの。

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── はじめからものづくりの仕事をしていたんですか?

ううん、全然。高校卒業後すぐに、渡豪、渡仏し、帰国後アパレルブランドに就職した。

その後、再度ヨーロッパへ渡り、フランスを経由してロンドンのデザイン会社に勤務して、3年後日本に戻り、あらゆる業種の仕事を転々としていたころ、当時、クリエイティブスタジオを運営してた古い友人と再会。そこからが私の第2の人生の始まりですね。

スタジオに併設するオルタナティブスペースの立ち上げに始まり、ギャラリーとそこに併設されているショップのマネージャーをさせてもらって、たくさんの知識、経験、コネクションを得た。

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── いよいよものづくりの世界に入るんですね。

とはいっても、全くのど素人で。値段の付け方、原価計算、品質表示などプロダクト制作面での知識もなければ、原画の価値、ロイヤリティーのこと、アートを扱う基本的なお作法すらわかっていなくて。日々勉強でした。

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── 丹生さん自身は、何か作られたりしていたんですか?

そのギャラリーでは、委託買取でお預りするアーティストプロダクトとは別に、展示にあわせてオリジナル商品も作っていたの。ZINEとか、Tシャツ、iPhone Caseとか。でもその時、変なモヤモヤ感が生まれたんです

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── どんなことですか?

作家さんが本当に作りたいもので、メッセージをこめて私が世に出したいものを、お金やら企業やらのしがらみなく作ってみたいという思いが生まれたんだと思う。

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── それがこのVV3につながるんですね。

そう。VV3の最初のシリーズはアーティストのNiky Roehrekeとのコラボレーションから始まりました。展示を通して出会った彼女とはすぐに意気投合して友達になったんです。
彼女は、「自然と人間を繋ぐ制作」ということをテーマに作品を描き続けているノマドアーティスト。 環境を守るため、自分に何ができるかを模索しながら、常にマイバック、マイコップを持ち歩いているような人なんです。そんな彼女と、彼女が掲げる大きなテーマを小さなアートピースにのせて発信できないかと夢見る私がタッグを組んだってわけ。

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── 彼女も同じような思いを持っていたんですね。ひとつひとつのワッペンに物語があるように見えます。

それぞれに彼女が伝えたいメッセージや、背景があるからそう見えるんだと思う。彼女が描く絵は、ビジュアライズと同時に、命が吹き込まれる感覚がある。

キャラクターたちがあまりに可愛いから、この子達(ワッペン)が帰るお家(ブック)が欲しいってNikyにお願いして描いてもらったの。

このブックはすでに単体で成立しているものだけど、これにベルクロワッペンを貼り付けられる仕様にしたいの。でもなかなかうまくいかず、何度も作り直して苦労しているんだよね。
だけど見て、これ、可愛いでしょう。

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ワッペンを並べて、絵本型のファブリックにくっつけると、そこに新しい世界が広がった。左右金色と銀色に光る目、見ているだけで温かい日向を感じる太陽。まっすぐにこちらを見つめるワッペンには、アーティストNiky Roehrekeのメッセージをたたえた強い眼差しと抱きしめたくなる可愛らしさが宿っている。VV3は、まだ最初のシリーズが始まったばかり。これから、彼女の子供たちと同じように育っていく。

海外経験、GALLERY/SHOP/オルタナティブスペースでのマネージャー経験を経て、双子を妊娠、出産。現在はJUST ANOTHER SPACEに所属し、ディレクターとして従事する傍ら、”Have a piece of art in your life” をコンセプトとした子ども向けライフスタイルブランド「 VV3 (ベベトワ) 」を立ち上げた。 今後VV3のさらなる展開はもちろん、子供のいる暮らしをより豊かにするための、新たなプロジェクト実現に向けて夢膨らませながら、日々、育児に奮闘中。
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